ひらりろぐ。

心にもない言葉より沈黙

ひとりっこ

若い母が、写真のなかで明るい服を着てピースサインなんかしている。
自転車を脇において、仲間とずらっと並んでいる。
わたしなどまだ影もなく、わたしのことなど考えていない母の笑顔。

だけど今日みたいな地震の朝、母はあのころの仲間の安否のことなどつゆも気にしないようすで、携帯さえ手にしなかった。ただ、仕事に行かなくてはならないと出かけるわたしに、気をつけて気をつけてと、何度も言った。
わたしが母の世界になってしまったんだ。

そして、わたしにしても同じことではあるんだと思う。仲の良いひとたちのなかでの笑顔は、きっと今だけのもので・・・